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コロナウイルス第6波に備えた身体づくり 免疫力向上に必要な栄養素

一刻も早く新型コロナウイルスの感染を終息させるには、何よりも感染しない・させないこと、そのために体の免疫力を上げることが必要不可欠です。そこで栄養学の観点から、免疫力を高める食べ物や効果的な食べ方についてご紹介します。

免疫と食べ物の関係

そもそも免疫力と食べ物にはどのような関係があるのでしょうか。皆さんご存じの通り、免疫力とはウイルスや細菌などの異質な物質から体を守るための抵抗力です。

これを高めるためには、体外からの異物をブロックする粘膜機能と、体内に侵入した外敵を倒す細胞たちを活性化させる必要があります。そのために十分な睡眠を取ったり、適度な運動をしたり、体を温めたりするのが効果的だと科学的に証明されています。

しかし、これらの方法よりもっと重要なことがあります。それは腸内環境を整えることです。腸は栄養や水分を吸収する器官ですが、それゆえに最も外敵と接触する場所でもあります。消化管を通ってくるのは体に良いものばかりではありません。そのため、腸は人体最大の免疫器官として約7割の免疫細胞を抱えているのです!

これらの免疫細胞は腸内細菌と共に働きます。したがって、免疫力を上げるためには腸内細菌を増やすこと、つまりは腸内細菌の餌となる食べ物を摂取することが大切なのです。

免疫力に関わる栄養素

私たちの体は口から入った飲食物によって構成されています。健康な身体づくりの基本はバランスの良い食事です。したがって、肉や魚、野菜などからさまざまな栄養素をバランスよく摂ることが大事なのですが、今回はその中でも特に意識して摂取したい栄養素をピックアップしてご紹介します。

食物繊維

整腸作用に役立つ代表的な栄養素が食物繊維です。食物繊維は消化されない・されにくい成分のことを指しており、食物繊維に含まれるものには多くの種類があります。それらは大きく分けて水に溶けにくい不溶性と、水に溶けやすい水溶性に分類されます。それぞれの働きを簡単にご説明しましょう。

不溶性食物繊維は腸内の余分な水分を吸収して便の体積を増やします。すると、腸が刺激されてぜん動運動が活発になるので、便通を良くする効果があります。

水溶性食物繊維は大腸で発酵されやすいものです。発酵した食物繊維は腸内細菌の良いエサになります。ビフィズス菌や乳酸菌に代表される善玉菌を増やすのに有効な栄養素です。

亜鉛

亜鉛は免疫システムが正常に働くのに必要不可欠な栄養素です。亜鉛が不足すると細胞に異常をきたし、免疫力が低下することが近年の研究で明らかになってきました。

また、亜鉛は新陳代謝に関わる重要なミネラルであり、健康な皮膚や髪を維持するうえで欠かせません。亜鉛は体内に蓄えることができず、食材に含まれている量が平均的に少ない栄養素なので、意識して摂取を心がけたい栄養素の一つです。

参考:日本衛生学雑誌「ここまで分かった亜鉛の免疫システムにおける役割」西田圭吾

ビタミンACE(エース)

体を守るビタミンの代表例がビタミンA、ビタミンC、ビタミンEの3つです。まとめてビタミンACE(エース)と呼ばれることもあります。

ビタミンAは全身の粘膜を強化し、皮膚の乾燥を防ぐ働きがあります。これにより、ウイルスなどの有害物質が体内に侵入するのを防いでくれるのです。

ビタミンCは体外からやってきた敵を排除する白血球を活性化させたり、侵入者を攻撃したりすることで体を守る働きをしています。ストレスや疲労の緩和にも効果があるので、心身の健康を保つうえで大きな役割を果たします。

ビタミンEは強い抗酸化作用を持ち、体をさびつかせる活性酸素を抑えることができます。また、体内の細胞や栄養素の老化も防ぐことができるので、ビタミンAやビタミンCがより長く体内で働けるように助けます。

ビタミンACEはすべて抗酸化ビタミンの一種ですが、特に高い抗酸化作用を持つのがビタミンEなのです。

免疫力を高めるために摂取したい食材

ここまでは、免疫力を上げるのに効果的な栄養素についてご紹介してきました。では、それらを含む食べ物にはどのようなものがあるのでしょうか。効率よく栄養を摂取できる食べ物についてご紹介します。スーパーでお買い物をする時や外食・デリバリーを利用する時のメニュー選びなどに役立ててください。

食物繊維:全粒穀物

食物繊維の摂取目標(1日あたり)は18~69歳の男性で20g以上、女性は18g以上です。しかし、日本人の平均摂取量は14g前後とかなり不足しています。この大幅な不足を補うためには、主食から摂取するのが効果的です。

穀類には豊富に食物繊維が含まれています。

しかし一般的によく食べられている白米は、精製されて外皮が削られている分、食物繊維を始めとした栄養素の量がガクンと減少しています。そこで、いつも食べている白米を玄米に変えたり、押し麦を混ぜたりして食べると効率よく食物繊維を摂取できます。

亜鉛:牡蠣

亜鉛は多くの食品に含まれるミネラルですが、たいていの食品にはごく少量しか含まれていません。しかし、牡蠣はあらゆる食品の中で最も亜鉛の含有率が高く、100gあたり13.2gと非常に多いです。1日の摂取目安量が18~74歳の男性で11g、女性では8gであることからも、牡蠣がいかに亜鉛を多く含んでいるかがわかります。

ビタミンA:しそ(大葉)

ビタミンAはレバーや緑黄色野菜に多く含まれています。特に鶏肉のレバーは100gあたり14,000μgと非常に多いです。しかし、ビタミンAには許容上限摂取量が定められており、成人の男女で3,000μgとなっています。これを超えると健康被害が起きるリスクが高まり、過剰摂取によって頭痛や骨量の減少などが起こります。また、慢性的にビタミンAを過剰摂取した場合、昏睡状態に陥ったり、死亡したりすることもあるそうです。妊娠時にビタミンA過剰症になると奇形児が生まれやすくなるという報告もあります。

このようなリスクを避けるためにおすすめしたいのがβ‐カロテンの摂取です。β‐カロテンは体内でビタミンAが不足している時だけビタミンAに変換される栄養素なので、ビタミンAを過剰摂取する心配がありません。β‐カロテンは緑黄色野菜に多く、特にしそは100gあたり11,000gと群を抜いています。しそは安価で一年中手に入れやすい食材なので、ぜひ普段から食卓に取り入れてみてはいかがでしょうか。

ビタミンC:カラーピーマン

ビタミンCの1日の摂取目安量は成人の男女で100mgです。ビタミンCは一度にたくさん摂っても2~3時間で排出されてしまいます。したがって、朝・昼・晩に分けてバランスよく摂取することが望ましいです。

ビタミンCはレモンを始めとした柑橘系の果物に多いイメージがあるのではないでしょうか。確かに果実類には豊富にビタミンCが含まれていますが、意外なところではピーマン類にもかなりの量が含まれているのです。しかもピーマン類は他の野菜に比べてビタミンの損失が少ないという特長も持っています。

ビタミンCは熱に弱いので、普通であれば加熱調理すると栄養価が減ってしまいます。しかし、ピーマンの場合はビタミンPという成分のおかげでビタミンCが熱から守られ、他の野菜よりも効率よくビタミンCを摂取できるのです。

特にビタミンCが豊富なのは赤ピーマン。次いでオレンジピーマン、黄ピーマンとなっています。ちなみにカラーピーマンは緑ピーマンよりも甘みが強いので、生でも食べやすいです。また、カラフルな食材を食卓に取り入れることで料理の彩りが良くなり、食欲をそそる効果も期待できます。

ビタミンE:枝豆

枝豆は「畑のお肉」とも言われる大豆が未成熟の状態、いわば大豆の幼少期ともいえる豆です。大豆と同じく豊富な栄養素を含んでいますが、特にビタミンEの含有量は数ある食品の中でもトップクラス!しかも枝豆はさやごと茹でることがほとんどのため、調理過程でのビタミンの損失が少なく、その豊富な栄養素をたっぷり摂ることができます。

ただし、枝豆は鮮度が落ちるのが非常に早く、一日置いただけでも風味や栄養が大きく損なわれてしまいます。生の枝豆を買う時は、できる限りその日のうちに食べきるようにしましょう。一度に食べきれない場合は冷凍保存をするのがおすすめです。

出典:文部科学省/日本食品標準成分表2015年版(七訂)
参考:厚生労働省/日本人の食事摂取基準(2020年版)

まとめ

今回は免疫力を上げる栄養素や代表的な食べ物についてご紹介しました。食べ物はその一つひとつが細胞の材料になったり、頭を働かせるエネルギー源になったりと、私たちが生きていくうえで欠かせない重要な役割を果たしています。私たちの体は食べ物によって構成されていると言っても過言ではありません。普段から食事を意識することが健康や美容を維持する秘訣なのです。

えいようJoinでは食べ物や栄養に関するお役立ち情報を定期的に発信しています。心身ともに健やかな毎日を過ごすために、ぜひ他のコラムも参考にしてみてください。

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