えいようJoinの管理栄養士が実際に現地へ訪れ、生産者や特産品、名物に触れる地方創生プロジェクト。
今回は岐阜県下呂市にて、下呂温泉周辺の美味しい食材を体験してきました。地産地消活動団体でも活躍中の宮川結衣さんが、管理栄養士ならではの目線で下呂温泉グルメの魅力を余すことなくお伝えします!
飛騨女子 “食” 旅 ~管理栄養士 宮川結衣~
管理栄養士3人で行った今回の飛騨女子旅は、まさに飛騨女子”食”旅。自然の恵みにあふれた飛騨では、地元に根付く食材への誇りを、地元の方々からたくさん感じることができました。
その豊かな食材の数々を、栄養の豆知識と一緒にお届けします!
※「発酵の宝庫!美味しく食べて腸活ツアー ~管理栄養士 高波紗希~」の記事はこちら
お母さんの愛情たっぷり鉱泉湯豆腐@小黒川釣り場
はじめにお伺いしたのは、小黒川釣り場。ここでは飛騨小坂の炭酸泉を使った湯豆腐やおかずが楽しめます。
『たくさん食べてってね〜!』とお店のお母さんがお出迎え。
使われている鉱泉はお母さんが自ら汲んできたもの。そして豆腐は地元のお豆腐屋さん、山菜などの野菜はお母さんのこだわりの野菜を使っており、愛情満点です。
鉱泉によって、お豆腐がとろとろに。体も芯から温まります。
【えいよう豆知識】鉱泉
全国的にも珍しい含有炭酸濃度が1000ppmを超える炭酸の温泉。ここ小坂の炭酸泉は、料理にもよく使われるそうで、昔からお通じの改善や胃腸の不調に効くと言われています。
湯豆腐と一緒に頂いた飛騨のごっつぉ(ごちそう)。
その日に仕入れた食材によって変わるそうです。今回は干しわらび、なつめの甘露煮、鉱泉煮豆など、ここでしか味わえないお母さんの味がありました。
山深いこの地方では、かつて大雪が降ると外に出られないこともあったそう。そのため昔から山菜などの山の恵みで作る保存食が重宝されていたそうです。
近くを流れる川も透き通り、岐阜の山の恵みや飛騨の風土を存分に感じることのできるごはんと場所でした。
スーパーフード「えごま」は岐阜の伝統食材だった!?えごま味噌で手作り五平餅@フィッシングセンター水辺の館
次にお伺いしたのは、馬瀬のフィッシングセンター水辺の館さん。ここでは、五平餅の手作り体験をすることができます。
赤い割烹着がとてもお似合いなお母さんが、優しく五平餅の作り方を教えてくれました。
ご飯をよくすり潰し、棒にくっつけて炭火で軽く焦げ目をつけ、味噌をぬります。
私たち管理栄養士が目を付けたのは、この五平餅に塗る「えごま味噌」。
最近出てきたスーパーフードのイメージがありますが、お母さんによると、この地域では『五平餅といえばえごまのたれ!』というほど、えごまは昔から馴染みのある食材だそうです。
えごま効果なのか、えごまの種を普段から食べ続けているお母さんのお肌はとてもつるつるなんです。
五平餅は、えごまと発酵食品のお味噌の相性バッチリで美味!栄養豊富なえごまを日常に取り込む知恵が、ここにはありました。
【えいよう豆知識】えごま
えごまには、魚の油と同じn-3系脂肪酸が豊富に含まれ、花粉症などの体内の炎症を抑制する効果があります。また、n-3系脂肪酸は体の中で作ることができないため、えごま油などからの摂取がとても大切です。お肉ばかりを食べがちな旅行でもえごまを摂れば、バランスの良い食事に繋がりますね。
職人さんのこだわりがつまった地味噌@今井醸造
続いては、飛騨・萩原にある今井醸造さんへ。
お店に入ると、飛騨の地味噌や味噌をベースとした今井醸造オリジナルの調味料などがズラリ!発酵調味料好きにはたまりません!!
今井醸造さんでは、使用する大豆は職人さんの手で一粒一粒、選び抜いたもの使っているとのこと。また、自然熟成にこだわり、時間をかけてお味噌などを作られています。こうした丁寧な物作りをしているからこそ、多くの方に愛されるお店であると感じます。
素敵な商品が多くある中で、私が一番気になったのは、生姜味噌。早速、生姜味噌で一品作ってみました!
キャベツ、人参、豚肉を蒸し煮にして、仕上げに生姜味噌を加えて、さっと火にかけるだけ。
ほんのりと生姜が香り、味噌の甘さでご飯が進みます。こちらの生姜味噌だけで、簡単に味が決まりますよ!
今井醸造の皆様、ありがとうございました!
金賞受賞の炊きたてごはん!!@舞台峠観光センター
飛騨旅行2日目、足を運んだのは舞台峠観光センター。
ここでは今、巷で噂の飛騨のお米「銀の朏(みかづき)」を食べることができるんです。「銀の朏」は、数々のお米のコンテストで金賞を受賞。皇室献上米にも選ばれ、テレビでも紹介された、予約待ちになるほどの人気のお米です!
そんな貴重なお米が、地元の食材をふんだんに使った御膳で味わうことができるんですよ。
お店の方の『炊きたてを食べてもらいたい!』との想いから、御膳にそれぞれ釜がついており、そこから自分で茶碗によそって炊きたてを頂けます。(炊きたてごはんを見てにやにやしている私。笑)
一口パクッと食べると、口いっぱいにお米の優しい甘みと旨みが広がりました。
【えいよう豆知識】ごはん
このご飯の甘みの秘訣は、飛騨の中山間地の寒暖差の激しい気候。野菜なども寒さで自分が凍らないようにと、糖を作り出すことでこの甘みや旨みが生まれます。飛騨地方の気候があるからこそのお米の美味しさです。
私が頂いた御膳は、銀の朏のたまごかけ御飯 。
ここで出されている地元生産者さんの卵は、箸でつまんでも黄身が割れないほど新鮮!そしてなにより味の濃い卵でした。管理栄養士3人で、卵をお箸で持ち上げて写真をとるなど大盛り上がり!
舞台峠では、飛騨の気候だからこそ生まれた特別な味を楽しむことができました。その食材をより美味しく食べてもらいたいというお店の方の素敵な思いと、農家さんと飲食店さんの繋がりの大切さを実感できるお店でした。
日本酒好きにはたまらない!工場見学&試飲もできる酒蔵@天領酒造
次にやってきたのは、延宝8年創業の飛騨の天領酒造さん!こちらでは、酒蔵見学をしてきました。
天領酒造の奥田さんから、使うお米や製法について一つ一つ丁寧に説明をしていただきました。使うお米は飛騨地方特産の「ひだほまれ」。精米から天領酒造さんで行なっているそうで、原材料への強いこだわりが伝わってきます。
初めて酒蔵見学をした私が驚いたことは、多くの工程を人の手で行なっているということ。それぞれストップウォッチを持ったスタッフの方々が、慎重に計量や浸水を行なっていました。
そんな素敵な光景を目の当たりにした後に、天領酒造さん一押しの日本酒や甘酒、どぶろくを試飲。手間暇と時間のかかる日本酒作りの工程を知ったからこそ、より美味しさを感じられました!
飛騨の食材を使った本格イタリア料理@オステリア・クッキアイオ
ほろよい気分の中、次に向かったのはカジュアルイタリアン オステリア・クッキアイオさん。
こちらでは、下呂特産ブランド豚である、「なっとく豚(納豆喰豚)」を使ったメニューがあるとのことで、さっそく頂きました!
<萩原なっとく豚肩ロース モッツァレラと卵のピッカータ>
なっとく豚は、納豆粉末を食べ、豚にとって快適な環境の中で、健康的に育てられた豚で、飛騨の名産品です。
オーナー様によると、なっとく豚は塩胡椒をしなくても、臭みがなく美味しいとのこと。実際に食べてみるとフォークですっと切れるほど柔らかく、なっとく豚のさっぱりとした旨みが感じられました。
【えいよう豆知識】豚肉
豚肉にはビタミンB1が豊富。お酒を飲むと、体内でビタミンB1が多く消費されてしまうため、お酒を飲むことの多い旅先で豚肉料理を選ぶのはおススメです。
なっとく豚など、地元の美味しいお肉や野菜を意識して取り入れているという、オステリア・クッキアイオさん。
飛騨の食材を使った本格イタリア料理を手軽に食べられるのは嬉しいですね。
おわりに
飛騨を満喫した、えいようjoinの管理栄養士3人旅。
今回のレポートでは紹介しきれなかった素敵なお店がまだまだたくさんあります。またの機会にご紹介させていただければと思っています。
岐阜県飛騨地方は、地元の食材や風土に寄り添い大切にし、寒い時期の長い気候の中でも暖かな想いに溢れる場所。ぜひ、飛騨の素晴らしさをを景色や食材、飛騨の素敵な方々を通じて体感してみてくださいね!!
※えいようJoin下呂温泉周辺食材探訪記②~管理栄養士が見た「下呂温泉は温泉だけじゃない!」~はこちら
管理栄養士プロフィール
食と農と想いを結ぶ管理栄養士
宮川 結衣
埼玉県所沢市で青果物流通の仕事をする傍ら、地産地消活動団体(ところ産食プロジェクト)の事務局員、野菜の切り方レッスン認定講師、野菜レシピ開発など、”野菜”を軸として幅広い活動を行なっている。