岐阜県下呂市に訪問し、下呂温泉周辺のグルメを体験!
今回は食と栄養のスペシャリストであるえいようJoinの管理栄養士、高波紗希さんに下呂温泉ならではの食をリポートしてもらいました。これから観光に行く方は要チェックです!人気の観光地だからこそ食べられる独自のグルメをご紹介します。
発酵の宝庫!下呂温泉!美味しく食べて腸活ツアー ~管理栄養士 高波紗希~
初めて訪れた岐阜県下呂市。美人の湯としても有名な下呂温泉。電車を降りた瞬間に感じたマイナスイオンたっぷりの美味しい空気と、大自然に恵まれたこの土地は、まさに美肌に最適な特産物で溢れていました。
今回は腸活美容食研究家として活動をしている私が、腸活の視点から、みなさんの美容と健康を叶えてくれるおすすめスポットをご紹介させていただきます。
※「飛騨女子 “食” 旅 ~管理栄養士 宮川結衣~」の記事はこちら
馬瀬の五平餅 αリノレン酸豊富なえごまみそ
馬瀬のフィッシングセンター水辺の館では、オリジナルの五平餅を作りを体験することができます!
白米の20倍の食物繊維がある高黍(たかきび)を入れて炊いたごはんを、綿棒でつぶしていきます。これが想像していた以上に力がいる作業で、五平餅をたくさん作っている方の大変さを痛感させられました。
潰し終わったあとは、自分のオリジナルの形に作成して、馬瀬名物の「えごまだれ」と「くるみみそだれ」につけていただきます。
この2種類のたれが本当に美味しいのです!
「えごまだれ」は、えごまの独特な風味と優しい甘さがくせになり、「くるみだれ」は、甘い味噌だれにくるみの香ばしさが際立ち、どちらのたれもお餅が足りなくなるくらい美味しくしてくれます。
さらにこの2種類のたれには、発酵調味料と、現代の食生活で不足しがちな良質な油を使用しているため、普段のおやつでは得られないメリットがあります!不足しがちな油とは、えごまとくるみに含まれている「α-リノレン酸」です。
「αリノレン酸」は、主にお魚に含まれるオメガ3系脂肪酸の前駆体であり、必須脂肪酸のひとつです。これらの脂肪酸は、体内で作り出すことができないため、食品から摂る必要があります。その中でも「えごま」には、ごまの100倍にもなる αリノレン酸が含まれています。
αリノレン酸の効果はたくさんあり、
- ・中性脂肪や悪玉コレステロールを減少する働き
- ・アレルギー症状の緩和
- ・メタボリックシンドロームなどの生活習慣病予防
- ・血流促進、美肌効果高血圧の改善
- ・認知症緩和・アンチエイジング効果
- ・メンタルケア学習能や視力の高度保持
- ・アレルギー過敏症の緩和にも有効なこと
が解明されています。
また、これらの効果のうち、脳のためには、脳は「油=60%」「タンパク質=40%」で構成されているため、飛騨牛(タンパク質)と一緒に摂取することがおすすめです!
岐阜県の名物、飛騨牛をいただいたあとには、えごまだれをかけたバニラアイスなんかも美味しそうですね。私はお土産に購入し、早速ほうれん草やお餅、そば粉をお湯で練った蕎麦がきにかけていただきました。どれも濃厚で贅沢な一品になります。
奥飛騨酒蔵で美肌を手に入れる!
江戸時代から、290年以上も伝統を守り酒造りを続けている「奥飛騨酒造」さんにお邪魔させていただきました。こちらでは高木さんより、さまざまな日本酒を試飲させていただきました。
どれも本当に美味しかったのですが、中でも私の1番のお気に入りは「初緑」という日本酒です。これがとにかくフルーティーで、一見白ワインのようなの香りがするのですが、日本酒なだけありしっかりと和食にも合いそうなコクのある味わいです。
「緑と水に囲まれた山里の酒」という意味が込められた「初緑」は、江戸後期天保年間、尾張の殿様より命名された歴史ある銘柄と言われています。
高木さんのお話によると、こちらは生原酒といって、他の日本酒とは違い濾過も加熱もせず、水も一切入れずに絞ったすっぴんのお酒だそうです。また、「初緑」で使用する酵母は「香りの酵母」と呼ばれる「協会1801号」、この酵母によってマスカットのような華やかな香りが楽しめるなんてところも素敵ですね。
酒粕
奥飛騨酒蔵では、日本酒を絞ったときに残る酒粕も販売しています。美味しい日本酒によって生み出される酒粕、美味しくないわけがありませんよね。実際に、板粕に砂糖醤油を塗って焼いたものをいただいたのですが、シンプルなのにチーズのようなコクのある、豊かで深い味わいが絶品で癖になる味でした。これはお酒もすすんでしまいます。
また、奥飛騨酒造の大吟醸酒と大吟醸酒粕で漬け込んで味付けしたクリームチーズも、お酒やドライフルーツに合うこと間違いなしのつい大人買いしたくなるほど贅沢な味わいでした。
酒粕には、コウジ酸、アルブミン、スフィンゴ脂質といった美肌へと導いてくれる成分が豊富に含まれています。更に「レジスタントプロテイン」という難消化性たんぱく質が含まれているのですが、こちらは食物繊維と似た働きをし、胃腸で消化しにくいため、摂取したコレステロールや脂質を吸着して体外へ排出してくれます。美味しく食べてデトックスまでできる最強な発酵食品の1つでもあります。
更に酒粕は、内側だけではなく外側からも効果を発揮してくれます。よく酒造りに携わっている杜氏さんの手が白くてきれいなのは酒粕のお陰だと言われていますが、私も酒粕を溶かして冷やした酒粕ペーストをパックとして使い初めてから、お肌に潤いが出て白く透明感が出てきたことをとても実感しています。
酒粕をパックにするなんてなんだか勿体ない気もしますが、1回当たり30円で済むことを考えたら市販のパックを買うよりも断然効果的ですので、是非上質な奥飛騨酒造さんの酒粕でも試してみてください。
甘酒
大の甘酒好きなわたし。中でもお砂糖を使わず、麹の甘さだけで作った麹甘酒が大好きなのですが、奥飛騨酒造さんの麹の甘酒がとにかく美味しくて感動モノでした。
麹のつぶつぶが柔らかくって口当たりがなんとも言えないなめらかで、甘さも甘過ぎずちょうど良いのです!今まで飲んだ甘酒の中で一番美味しい!
こんなに美味しいのに、美肌やダイエットにも良いのですから、こういった発酵や温泉にも恵まれている下呂温泉では、美肌美人が沢山いるのも納得です!実際に奥飛騨酒造の、高木さんもお母さまも日々日本酒や甘酒、酒粕を摂取しているせいかとってもお肌ツルツルでした。
それもそのはず、麹甘酒はビタミンB群によって肌に潤いを与えてくれるので保湿効果が期待でき、麹に含まれるコウジ酸によってシミの原因となるメラニンの生成を抑えシミを抑えてくれます。お砂糖と違ってお米による自然な甘さなため「もっと食べたい!」といった中毒作用がなく、食物繊維やミネラルも豊富ですので、太りにくい甘味料なのも嬉しいですね。
お土産に買いましたがあっという間になくなってしまいました。奥飛騨酒造へ行かれた際には是非、お土産におすすめです!
豚も一緒に腸活? 天狗のなっとく豚
毎日欠かさず納豆ごはんを食べるくらい大の納豆好きなわたし。更に管理栄養士として、腸活の大切さをお伝えしているだけに、見過ごせない豚さんが現れました!
その名も「納豆喰豚(なっとく豚)」。「納豆喰豚」は文字の通り、肥料に納豆の粉末を与えて育てられた豚さんです。更にお米を与えているのでまさに私の朝食と一緒!
私たち人間が、健康の為だったり好んで食べている納豆を、あの豚が食べるなんて…なんだか勝手ながら親近感が湧いてしまいます。発酵食品である納豆には、腸内環境を整える効果がありますので、健康はもちろん気持ちを穏やかにし、心身共に健康にしてくれます。
そして、こだわりは食べ物だけでなく、エレン水といった、生物を健康にし環境にも良いと言われるお水を与えたり、省エネ型ハイブリッド暖房や気化式の冷房を導入するなど、快適な環境で育てています。こんなに手間暇かけて、素晴らしい環境で大切に育った豚肉が美味しくないわけありません。
「 納豆を食べて育った豚??納豆の味がするのかな?」 なんて思いながらもカツを早速いただいてみました!
想像していた納豆の風味はなく、腸内環境が綺麗な豚さんなだけあって、豚肉本来の臭みが全くありませんでした。そして、お肉もジューシーでとても柔らかく、まさに「納豆喰」の美味しさでした。食べたあとに胃がもたれないのも嬉しかったです。
私たちの身体は、当然食べたものから作られていますが、動物がなにを食べているのか、どういった環境で育っているのかも、私たちの身体と健康へと直結していると思います。安全な食べ物を食べ、ストレスなのない環境で育った動物をいただくこと。動物にとっても人間にとっても安心で安全でとても素敵な取り組みですね。
「水明館」で疲れた身体を癒す甘酒シェイク
「美人の湯」と呼ばれる下呂温泉では、「旅の楽しさにきれいをプラス」をテーマに、【素肌美人プロジェクト】が実施されています。
地元のシェフやパティシエさんたちによって編み出された、地元の食材や発酵食品を使用したスイーツの数々。
下呂の一帯の中でも、歴史ある日本の名旅館として有名な「水明館」ですが、こちらでは飛騨の名酒「天領」さんの甘酒をたっぷり使用した甘酒シェイクを堪能することができます。
甘酒を使用した2種の甘酒シェイク(左 トマト味 右 抹茶味)
こちらでは酒粕を薄めた甘酒でなく、近年「飲む点滴」と呼ばれブームを巻き起こしている、麹を使った甘酒を使用しています。麹甘酒には点滴と同様、すぐにエネルギーとなるブドウ糖、さらに麹菌の働きにより必須アミノ酸や様々なビタミン類(ビタミンB群・パントテン酸・ビオチンなど)が豊富に含まれています。
さらににアミノ酸由来のGABAによるストレス軽減、トリプトファン・ビタミンB6・ビタミンB12による安眠効果もあります。まさに温泉に入ったあとや旅の疲れを癒すにはぴったりのドリンクです。
甘酒パワーだけでもこんなに効果的なシェイクですが、こちらのシェイクにはトマトと抹茶のそれぞれの美味しさ・効果を楽しむことができます。
最初は無難に抹茶からいこう!と安定の抹茶な美味しさに癒されながら、次は全く想像もつかないトマト味へ。「そもそもトマトと甘酒って…相性合うのかなぁ?」と恐る恐るいただきました。するとびっくり!
トマトの酸味が甘酒の優しい甘さによってまろやかになり、なんだか癖になる味で一瞬でトマト味の虜になってしまいました。トマトは一般的に、美容効果や健康維持に役立つビタミンC、老化を抑制するビタミンE、塩分の排出を助けるカリウム、さらに抗酸化作用たっぷりのリコピンなども豊富に含まれています。
下呂温泉へ訪れた際には、是非「水明館」の甘酒シェイクのトマト味をお試しください。
小黒川釣り場で腸を整える!鉱泉湯豆腐と鉱泉粥
始めに見た時はごく普通の湯豆腐だったのに、5分ほど煮込んだだけで見違えるようにふわふわ溶けだす鉱泉湯豆腐。
これは、鉱泉に含まれるナトリウムと凝固剤であるにがりの塩化マグネシウムとの化学反応によるもので、豆腐の旨みを引き出してくれるのだそう。それだけでなく、お豆腐のたんぱく質が溶けだすことでフワフワに柔らかくなります。
これがまた絶品!!まるで白子のように口の中でなめらかにとろけちゃいます。これだけでもただの湯豆腐ではないのですが、鉱泉湯豆腐ならではの整腸作用があることも嬉しいです!
そして、ここのお母さんが作ってくれる郷土料理。食物繊維たっぷりの山菜や旬の食材を古くから伝わる味付けでおもてなししてくださいます。
このおかずたちを飛騨では「ごっつぉ」と言い、「ごちそう」といった意味があるそうです。確かに、このボリュームと素朴な美味しさは東京では食べることの出来ない、どこか懐かしく愛情たっぷりのご馳走です!
中でも鉱泉で煮込んだじゃがいもの煮っころがしと、煮豆はとってもシンプルな味付けにも関わらず、普通の煮物とは全然違い深みある味わいと食感にとっても感動しました!また、炭酸泉には『体の芯から温まり、湯冷めしにくい』という特徴があります。
その理由は“炭酸泉の泡”にある血行を促進させる効果。シュワシュワとくっつく泡が皮膚を通して血管に入ることで、血液中の二酸化炭素が増えるのです。すると、脳は身体が酸素不足だと判断し、もっと酸素を運ぶよう全身へ信号を送ることで、身体の芯から温まることが出来るのです。これは足湯だけでも効果があり、運動と同じくらいのパワーを発揮してくれます。
食物繊維たっぷりの郷土料理と美味しい鉱泉料理をいただいたあとは、温泉に浸かることで、身体の内側からも外側からも美容効果が期待できること間違いなしですね!
こんな美味しいお米食べたことない!舞台峠で食べられる日本一のお米
舞台峠では、日本一の称号を受けている下呂市のお米「銀の朏御膳」を食べることができます。
「銀の朏(みかづき)」の由来は、米粒が大きく、すっと白い線が入り、それがまるで三日月のようだということで、この名がつけられました。農薬の使用を抑え、化学肥料を一切使用せずに丹念に手間暇かけて育てられています。
こしひかりの約1.5倍の大きさだけあって、一粒一粒に粘りと甘みがあり、たまらなく美味しいお米です。下呂の山々が育むミネラル豊富な水、600m前後の高地で寒暖の差がある気候、そして生産者さんの愛情があるからこそ、こんなに美味しいお米ができるのだなぁと実感させられました。
こんなに美味しいお米と一緒にいただく、飛騨牛と味噌焼き、鶏ちゃんの鉄板焼き、たまごかけごはんはとにかく贅沢!
そして、私の中で最も感動したのがこちらのこんにゃく!お米と同様、こんなに美味しいこんにゃく食べたことない!というほどの弾力とぷるぷるとした食感で、いくらでも食べれてしまいそうな美味しさでした。
このこんにゃくは舞台峠1階のお土産屋さんでも販売されていたのでつい購入し、道の駅で購入した鉱泉玄米粥と一緒にいただきました。この玄米鉱泉粥も、鉱泉で煮こんだお豆やじゃがいものように深く優しい美味しさが広がります。旅で少し食べ過ぎた身体を美味しく優しく、労ることができました。
おわりに
都会の慌ただしさを忘れ、大自然だからこそ生み出される新鮮な食材や温泉。
そしてとてもあたたかい下呂市の皆様のおかげで、ココロと腸内環境と共にリラックス&デトックスをすることができた女子旅でした。
また何回でも足を運びたくなってしまう、魅力たっぷりの下呂市。
是非、みなさんも下呂温泉で楽しく美味しく、腸内美人を目指されてはいかがでしょうか?
※えいようJoin下呂温泉周辺食材探訪記①~管理栄養士が見た「下呂温泉は温泉だけじゃない!」~はこちら
管理栄養士プロフィール
管理栄養士/腸活美容食研究家
高波 紗希
長期に渡る摂食障害を腸を整えることで克服した経験から『腸を整えて、自分を好きになれる食事法』をテーマに、発酵食品や旬のお野菜を使用した料理教室や、腸活スイーツの商品開発、雑誌へのレシピ提供など幅広く活動中。