ビタミンAやアミノ酸など、栄養素の名前はよく知られているものが多いですが、どんな働きを持つものなのかはまでは知られていないことがほとんどです。美容や健康に良いといわれている食材や栄養素は本当に効果があるのか、気になったことはありませんか?Joinちゃんもその一人。このQ&AはそんなJoinちゃんの疑問にえいよう博士が答えていくコーナーです。えいよう博士が食事や栄養に関するさまざまなことを分かりやすく解説します。
目次
ビタミンA
Joinちゃん:ねぇ、博士。ビタミンAは目に良いって聞くけど本当なんですか?
えいよう博士:よく知っているね。ビタミンAが目に良いというのは本当だよ。私たちの目が見えるのは、明るさを感知したり、色の情報を伝えたりする「ロドプシン」という物質があるからなんだ。このロドプシンの材料となるのがビタミンAなんだよ。目の機能を維持するためには欠かせない栄養素と言えるね。
Joinちゃん:じゃあ、もしビタミンAが不足したらどうなるんでしょう?目が見えなくなっちゃうんですか??
えいよう博士:その通り。ビタミンAが不足することによる異常を「ビタミンA欠乏症」と言って、最初は暗いところでの視力が著しく低下する。さらに症状が進むと失明してしまうこともあるんだ。特に小さな子どもへの影響が大きくてね。発展途上国ではビタミンA欠乏症が原因で失明する子どもが多いといわれているよ。
Joinちゃん:それは怖いですね……。不足しないように気をつけなきゃ!ビタミンAが多いのはどんな食べ物なんですか?
えいよう博士:ビタミンAを多く含むのは肉や魚などの動物性食品だね。体内のビタミンAのほとんどが肝臓に蓄えられているから、特にレバーにはたっぷり含まれているよ。
Joinちゃん:なるほど!じゃあ、今日からいっぱいレバーを食べますね!
えいよう博士:ちょっと待って!ビタミンAは不足してもダメだけど、たくさん摂りすぎてもいけないんだ。過剰摂取は「ビタミンA中毒」の原因になってしまうからね。一度に大量摂取すると「急性ビタミンA中毒」になって、腹痛や嘔吐、発疹などの症状が現れる。日常的に過剰摂取を続けた場合は「慢性ビタミンA中毒」になって、髪質が悪くなったり、肌荒れやドライアイが起こったりする。やがては重度の頭痛に苦しんだり、骨折しやすくなったりしてしまうんだ。
Joinちゃん:うーん。食べたら良いのか悪いのか、分からなくなってきました……。
えいよう博士:ほどほどにってことだね。過不足なく摂るのが一番だよ。そもそも日本で普通の生活を送っている限り、ビタミンAが不足することはほとんどないんだ。だから無理にたくさん摂取しようとしなくてもいいんだよ。でも、ビタミンAを蓄える肝臓の機能が弱ったり、ダイエットで厳しい食事制限をしたりすると不足してしまうこともある。
Joinちゃん:そういう人は肉や魚をたくさん食べた方が良いってことですね!
えいよう博士:うん、その通りだ。だけど、肉や魚以外にもビタミンAを効率よく摂れる食べ物があるよ。しかも、ビタミンA中毒になる心配もない。
Joinちゃん:え!?そんな食べ物があるんですか?何だろう……。あ!目に良いといえばブルーベリーですよね!
えいよう博士:残念。確かにブルーベリーは目に良いといわれているけれど、まだ十分な根拠はないんだ。ブルーベリーに含まれる「アントシアニン」という成分が目の健康に良いとされているものの、その効果について決定的な証拠は明らかにされていないんだよ。
Joinちゃん:そうだったんですか!?それは初めて知りました。でもブルーベリーが違うなら、ビタミンAを安全に摂れる食べ物が何なのか全然分かりません……。
えいよう博士:ふっふっふ。実はね、海苔なんだ。
Joinちゃん:えぇっ、海苔!?海苔でビタミンAが摂れるんですか?
えいよう博士:正確にはビタミンAではなく「β-カロテン(ベータカロテン)」だね。海苔に含まれるβ-カロテンは、体内でビタミンAが不足した時だけビタミンAに変わるんだ。必要な分しか変換されないから、ビタミンA中毒になる心配もないんだよ。
Joinちゃん:なるほど、それなら安心ですね!でもβ-カロテンってどこかで聞いたことあるような……確かにんじんに含まれているやつでしたっけ?
えいよう博士:その通りだよ。β-カロテンは、にんじんを始めとした緑黄色野菜に多く含まれる栄養素なんだ。そもそも緑黄色野菜というのは色鮮やかな野菜ではなく、100gあたりに600μg以上のβ-カロテンを含む野菜と定義されているからね。ちなみにトマトやピーマンは600μgに満たないけれど、よく食べられていることから緑黄色野菜に分類されているよ。
Joinちゃん:そうだったんですね。今までずっと、緑黄色野菜は色が濃くてカラフルな野菜のことだと思っていました。β-カロテンの量が多い野菜だったなんて……。それなら、好き嫌いせず野菜もたくさん食べないとですね!
えいよう博士:そうだね。野菜に限らず、いろいろな食材からバランスよく食べることが大切だよ。たとえば、ビタミンAやβ-カロテンは油に溶けやすい脂溶性ビタミンだから、肉や魚と一緒に調理したり、バターで炒めたりすると体内での吸収率が良くなるんだ。
Joinちゃん:なるほど、食べ物って思っていたよりもずっと奥が深いです!ただ食べればいいってわけではないんですね。ありがとうございます、博士!早速今日から食事に気をつけてみます。
まとめ
- ・ビタミンAには目の健康維持を助ける働きがある
- ・動物性食品や藻類、緑黄色野菜からビタミンAを効率よく摂取できる
- ・ビタミンAは過不足なく摂取することが大事(一日あたりの推奨量:成人男性850~900μgRAE、成人女性650~700μgRAE)
- ・β-カロテンは体内で必要な量だけビタミンAに変換される
- ・脂溶性ビタミンであるビタミンAとβ-カロテンは、油脂類と共に摂ると吸収率が上がる
参考:公益社団法人日本薬学会「薬学用語解説」
参考:MSDマニュアルプロフェッショナル版「ビタミンA」
参考:Advances in Nutrition「Recent Research on the Health Benefits of Blueberries and Their Anthocyanins」
参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」