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野菜の消費量が多い都道府県庁所在地+政令指定都市ランキング!

普段何気なくスーパーで買って食べている野菜。地域によって人気な野菜はあるのか、どこが一番野菜を消費しているのか、なんてことが気になったことはありせんか?
ということで野菜別に消費量の多い場所をランキング形式でご紹介していきます!あなたの住んでいる町が登場するかもしれませんよ?また、そこから見えてくる地域性や食文化、生産量などについても解説しているので、ぜひ後学としてお役立てください。

調査元のデータ

ランキングに移る前に今回の調査元のデータについて少し説明します。今回使用したのは総務省統計局による2017年~2019年の平均データです。2人以上の世帯を対象に、一世帯あたりの品目別購入数量を元に集計しています。また、今回は都道府県ではなく県庁所在地であることにご注意ください。

ちなみに総務省統計局のデータでは東京は東京都区部と表されていましたが、それだと東京23区と混同してしまう恐れがあるので「新宿区」に表記を改めています。

また、ここで言う政令指定都市とは、都道府県庁所在地以外の川崎市、相模原市、浜松市、堺市、北九州市の5つです。最後にランキングの数値についてですが、今回は純粋な消費量を知ることが目的なので購入金額ではなく数量をグラム(g)で表しています。

以上のことを念頭に置いたうえで、ランキングをご覧になってください。それではランキングに移っていきましょう!

参考:総務省統計局「家計調査(二人以上の世帯) 品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング(2017年(平成29年)~2019年(令和元年)平均)」

葉茎菜類(ようけいさいるい)の消費量ランキングベスト3!

葉や茎の部分を食べる野菜のうち、主要なものを6つピックアップしました。緑黄色野菜で言うと、主に緑の野菜です。

 

キャベツ

ほうれん草

白菜

1位

秋田市

20,929

秋田市

4,432

大阪市

11,345

2位

鹿児島市

20,714

盛岡市

4,237

堺市

11,069

3位

盛岡市

19,716

千葉市

4,115

大津市

10,740

 

 

ねぎ

レタス

ブロッコリー

1位

千葉市

6,457

千葉市

8,786

川崎市

5,812

2位

秋田市

6,284

相模原市

8,477

千葉市

5,745

3位

盛岡市

6,155

横浜市

7,747

新宿区

5,593

関東地方の都市は8つランクイン、次いで東北地方の都市が6つランクインする結果となりました。最も多かったのは千葉市で、4種類の野菜でランキング上位を取っています。

地方は近郊農業がさかんな土地であり、人口も集中していることからたくさんの野菜が出荷されます。特に鮮度が命の葉物野菜にその傾向が強いです。関東地方の都市では新鮮な野菜が数多く出回ることから、葉茎菜類のランキング上位を8つも占めたのだと考えられます。

そんな中で、ひょっこりランクインしている鹿児島市。キャベツの消費量が2位なのは偶然ではありません。鹿児島県といえば火山灰などの火山噴出物が混じったシラス台地で有名ですよね。水はけが良いため稲作には向いていませんが、その分畜産や畑作に力を入れています。ダムの建設で農業用水の確保もでき、以前より畑作がさかんになっているのです。

キャベツにはビタミンCやビタミンKが含まれているので肌荒れ改善や疲労回復、骨の形成に効果的であり、キャベジンと呼ばれるビタミンUも含有しています。胃腸薬の名前にもなっている通り、弱った胃や十二指腸を助ける働きもある嬉しい野菜です。

現在、鹿児島県では法人による大規模経営でのキャベツ栽培が進められています。そのため、キャベツの収穫量は2009年から2018年の10年間で65.1%も増加しました!温暖な気候を活かして、特に冬のキャベツ生産に大きく貢献しています。このように一年を通してキャベツが安定して手に入ることから、鹿児島県内での消費量も伸びたのでしょう。

そして興味深いのが白菜のデータです。実は国内で生産されている白菜の半分以上が茨城県と長野県で作られています。それにも関わらず、白菜の消費量トップはいずれも近畿地方です。その理由は近畿地方に根付く鍋文化だと言われています。

大阪は鍋料理発祥の地であり、そこから近畿地方全体に鍋文化が浸透していきました。鍋料理のレパートリーは幅広く、ぼたん鍋、鴨鍋、カニ鍋、すき焼きと枚挙にいとまがありません。鍋をよく食べる風習が白菜の消費を底上げしていたのですね。鍋料理は塩分が多めになりがちなので、白菜にはナトリウムの排出を促すカリウムが比較的多く含まれていることからも、鍋と白菜の関係は切っても切れません。

また、NIKKEI STYLEでは在日韓国朝鮮人の数にも着目しています。大阪府は日本一在日コリアンが多い土地です。韓国には秋ごろになるとキムチを一家総出で手作りする慣習があります。そのため、白菜を箱買いする必要があるのだとか。これらの理由から白菜は葉物野菜でありながら、近畿地方が消費量トップを占める結果となりました。

参考:ジャパンクロップス「鹿児島[キャベツ]」生産状況」
参考:NIKKEI STYLE「大阪人はなぜ白菜好きなのか? 購入額トップ独走」(2013/10/6)

根菜類の消費量ランキングベスト3!

根菜類は字面から根っこの部分を食べる野菜と勘違いしてしまいがちですが、正しくは「土の中にある部分を食べる野菜」です。下記の表で言うとさつまいも、大根、にんじんは根っこが肥大化した部分を食べています。一方で私たちがじゃがいも、さといもとして食べているのは地下茎です。そして玉ねぎの丸い部分はなんと葉っぱ!鱗茎と呼ばれる葉の集合体を食べています。ひと口に根菜といってもいろいろあるのですね。

 

じゃがいも

さつまいも

さといも

1位

静岡市

12,014

徳島市

3,950

新潟市

3,004

2位

札幌市

11,175

仙台市

3,491

山形市

2,556

3位

長崎市

11,167

鹿児島市

3,397

福井市

2,455

 

 

大根

にんじん

玉ねぎ

1位

盛岡市

16,139

那覇市

10,642

札幌市

19,762

2位

千葉市

15,539

盛岡市

9,862

堺市

19,304

3位

宇都宮市

15,508

千葉市

9,775

佐賀市

18,601

根菜類は先ほどとは違い、あまり偏りのない結果となりました。ただ、根菜類は冬に体を温めるために食べる人が多いからか、北日本や日本海側の地域に集中する傾向にあるようです。ビタミンCやビタミンEを豊富に含むので血行を良くしたり、体をつくるたんぱく質の働きを助けるミネラルが多く入っていたりと、体が弱りがちな冬には必要不可欠なのでしょう。

さといもには特にその特色が見えます。さといもは煮物や汁物の具材としての消費がほとんどです。そのため、寒い日本海側の地域で需要が高まったのでしょう。また、新潟県には「のっぺ」や「いも味噌」などのさといもを使う郷土料理があり、県民から親しまれています。

ナトリウムを排出し、高血圧を抑制するカリウムを多分に含むので、濃い味つけの料理と相性抜群です。そして忘れてはいけないのが山形県!「日本一のいも煮会フェスティバル」はニュースでも取り上げられるほど有名です。直径6mにもなる大鍋で約3万食のいも煮が作られます。このような風土や馴染み深さから、さといもの消費量が多いのでしょう。

生産と消費に大きな相関関係が見られたのがさつまいもです。さつまいもは漢字で「薩摩芋」と書くことからも分かる通り、鹿児島県から全国に広まった品種です。当然生産量も多い土地になります。2位の仙台は意外に思われるかもしれませんね。実は東日本大震災の後、塩害にも強い作物を育てようとした農家の人々が徳島県の有名ブランド「鳴門金時」の苗を植えて「仙台金時」という新ブランドを作ったのです。仙台金時の栽培は成功し、順調に収穫量も伸びています。いまや宮城県は鹿児島県、徳島県と並ぶさつまいも生産地になりつつあるのです。

これらの土地でさつまいもの消費量が多いのは、地元の人々に各々のブランドが愛されている証拠でしょう。さつまいもは食物繊維とヤラピンというお腹の調子を整える効果を持つ成分が含まれているので、仙台金時をよく食べるようになった宮城県民は便秘知らずになったかもしれませんね。

仙台金時のように、その土地の難点を補い活かしたもう一つの例が岩手県の「雪下人参」です。雪の下で育つにんじんは凍結を防ごうと糖度を高めるので甘く育ち、にんじん特有の臭みも少ないと人気が出ています。野菜嫌いな子どもでも食べやすいので、徐々に販路が拡大されているようです。

それから、にんじんの消費量が一番多いのは那覇市でしたが、これはよく知られている沖縄県の郷土料理「にんじんしりしり」を筆頭に、にんじんをよく食べる食習慣ができているからでしょう。

にんじんに含まれるβカロテンはビタミンAにも変換されます。にんじんしりしりにはゴマ油が使われますが、油と一緒に摂取することでビタミンAの効果(視力維持、粘膜や皮膚の健康維持など)が増すのです。沖縄の人々は、長年の暮らしで自然と身についた効率の良い食生活をしているのですね。このように地域ごとの野菜消費量から、土地柄や風習が見えてきます。

参考:博士ライフ「宮城県のさつまいも栽培事例」
参考:Iwanichi Online「寒に耐え甘く 北上・雪下ニンジン収穫【いわて瞬感】」(2019/1/19)

果菜類(かさいるい)の消費量ランキングベスト3!

果実になる部分を食べる野菜を果菜類と言います。花が咲いた後、実になる部分を食べるもの全般を指すので、ここには載せていませんがイチゴやスイカのような果実的野菜も果菜類なのです。

 

さや豆

かぼちゃ

きゅうり

1位

新潟市

4,613

大津市

5,358

前橋市

10,833

2位

秋田市

4,426

佐賀市

5,279

福島市

9,939

3位

新宿区

2,809

長崎市

5,094

長野市

9,885

 

 

なす

トマト

ピーマン

1位

秋田市

5,898

千葉市

16,060

川崎市

3,737

2位

京都市

5,561

さいたま市

15,704

千葉市

3,660

3位

大津市

5,416

横浜市

15,571

新宿区

3,541

最初に「さや豆」の定義について述べておきます。さや豆とはその名の通りさやに入った豆の総称です。ここで言うさや豆とは、さやいんげん、さやえんどう、ささげ、枝豆、そら豆、グリーンピースなどが含まれています。そしてこのランキングでは1位・2位と3位の消費量に大きな隔たりがありますね。その理由は枝豆にあると思われます。

新潟県も秋田県も枝豆日本一を目指して、独自のブランド枝豆を作っています。また、収穫量は多いのに出荷量は大きく減っていることから、両県民ともに枝豆をよく食べる人が多いことが分かります。無類の枝豆好き県であることが、断トツで消費量が多い理由でしょう。

枝豆は「畑のお肉」とも言われる大豆と同じ作物なので、非常に栄養価が高いです。鉄やカリウムが豊富に含まれており、女性に多い貧血やむくみを予防してくれます。秋田美人の秘密は枝豆にもあるのかもしれないですね……!

それから全体的に消費量が多いのはトマトで上位3県とも15,000g(15kg)を超えています。次いで多いのがきゅうりです。どちらの野菜も首都圏近辺の都市で消費が多い傾向にあります。これらの野菜が群を抜いて消費されているのは、近年ブームとなっている健康志向が一因です。

高齢化社会が加速するにつれて健康関連の事柄がメディアでもよく取り上げるようになりました。それによって、他の世代にも健康志向が生まれ、手軽に野菜を摂取できるサラダの需要が高まってきています。きゅうりは可食部の95%が水分でカリウムや利尿作用のあるイソクエルシトリンが豊富なのでむくみを改善する働きがあり、トマトに含まれるリコピンは活性酸素を減らす働きがあるので疲労回復や老化防止に効果的です。

特に高齢者世帯や単身世帯ではカット野菜の消費が多いですが、複数人いる一般世帯においては生鮮野菜を購入した方が経済的であるため、トマトやきゅうりの消費が多いのでしょう。

夏野菜の多くが関東近辺に集中する中、かぼちゃは西日本側でよく食べられています。実はかぼちゃが収穫されるのは夏から秋にかけての時期。冬のイメージが強いかぼちゃですが、本当は夏野菜なのです。かぼちゃの消費量が偏っているのは東日本と西日本の味の好みの問題だと思われます。

かぼちゃには私たちがよく食べている「西洋かぼちゃ」、凹凸がはっきりしていて皮が黒っぽい「日本(東洋)かぼちゃ」、ズッキーニなどの「ペポかぼちゃ」の3種類があります。この中の日本かぼちゃは粘質でねっとりした味わいで和食によく合うのですが、東日本ではあまり好まれません。したがって、日本かぼちゃもよく食べる西日本での消費が多いのだと考えられます。

もっとも、西洋かぼちゃにはビタミンC、ビタミンE、βカロテンといった抗酸化作用のある成分が多く含まれるため、髪や肌の健康維持に効果的です。栄養の面から見ると「日本かぼちゃも食べなくちゃ!」と焦る必要はないので、東日本の方々は安心してください。

参考:えだまめ日和「日本と世界の枝豆」
参考:日本食糧新聞「サラダ需要、さらに活況 高まる健康志向 総務省「家計調査」」(2017/12/13)

きのこ類の消費量ランキングベスト3!

ご存じの方も多いと思いますが、きのこは菌類の仲間です。きのこの本体は菌糸という極細の糸のようなものであり、私たちが普段食べているのは子実体(しじつたい)と呼ばれる部分です。この中できのこを増やすための胞子をつくります。ですから、きのことは植物での子房にあたる部分と言って良いでしょう。

 

生しいたけ

しめじ

えのきたけ

1位

秋田市

2,303

山口市

3,650

長野市

4,687

2位

盛岡市

1,992

長野市

3,466

新潟市

4,342

3位

徳島市

1,960

大津市

3,353

富山市

3,844

上の表で最も総数量が多いえのきたけから見ていきましょう。えのきたけの消費量第1位は長野市でした!それもそのはず。長野県は日本一平均寿命が長いご長寿県なのです。えのきたけは皮膚や粘膜の健康維持を助け、老化防止作用を持つナイアシンを豊富に含んでいます。しかも国産のえのきたけの6割以上は長野県産なのです。

生産と消費に相関関係があることは前述しましたが、それをデータとして裏付けした都市があります。それが、えのきたけの生産量日本一の都市、長野県中野市です。産地と消費量の関係を明らかにするために2014年~2015年にかけて調査を行いました。その結果は下記の通りです。

引用:JA長野開発機構「長野県中野市のきのこ消費量調査」(pdf)

引用:JA長野開発機構「長野県中野市のきのこ消費量調査」(pdf)

上位3つの品目部分を太字で囲ってあります。その中を注目して見てもらうと、表1、表2ともにいずれの月も第1位はえのきたけであることが分かります。全体に占めるえのきたけの平均購入金額は約35%ですが、消費重量においては約半分を記録しています。

表1と表2の割合の乖離については、きのこ自体の重さというより調達方法が理由だとありました。えのきたけを栽培している人が周りに多いため、おすそ分けをしてもらうことがよくあるそうです。これも消費を促す一因ですね。この調査結果から、生産がさかんな地域では消費も多いことが明らかになりました。

同様の現象が生しいたけでも見られます。市場に出荷される生しいたけは、一年を通して秋田県産、岩手県産、徳島県産のものが多いです。徳島県の場合、出荷量が多いため県内に出回る量が生産量に対してやや少ないですが、生産と消費に正の相関関係があることは確かです。一時期、東北地方は東日本大震災の影響できのこ栽培が、西日本の良質な木に入れ替えるなどして原木しいたけの産地へと見事復活を果たしました。

おかげで私たちの健康的な食生活が保たれています。しいたけには食物繊維がたくさん含まれているため、腸の働きを活発にする他、有害物質を吸着させて、便と一緒に体の外に排出する役割があるのです。

参考:農畜産業振興機構「生しいたけの需給動向」(pdf)

野菜の消費動向から見える地域性や風習

今回のランキングでは野菜ごとに消費量の多い都市を見ていきましたが、あなたの住んでいる地域はありましたか?あったなら、ぜひそのことを自慢してたくさん野菜を食べてください。もしどこにもランクインしていなかったなら、もっと消費量が上がるようにたくさん野菜を食べると良いと思います。

さて、このコラムでその土地の風土や食文化、そして生産量が大きく関係していることが明らかになりました。こうしてじっくり向き合ってみると、さまざまなことが繋がっていることが分かると思います。普段の生活の中でも少し視野を広げてモノを見てみたら、もっとスーパーに行くのが楽しく、毎日が驚きと発見に満ちるのではないでしょうか。

それでは最後に総合1位の発表をして締めたいと思います。

生鮮野菜の消費量、栄えある第1位は「千葉市」で203,597g(203kg)でした!!!

千葉県は農業産出額が全国トップクラスの農業県です。千葉県で頑張っている農家の方々のおかげですね!

このようなランキング形式のコラムは今後も不定期に更新していく予定なので、ぜひチェックしてみてくださいね。次はあなたの住む町がランクインするかもしれませんよ?

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